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論理構造の記述

HTMLは、「見出し」や「段落」といった文章の論理構造を記述するための言語です。1989年にWWW(World Wide Web)のシステムが考案されたとき、どのような環境からでもWebページを閲覧できるようにするために、HTMLで論理構造を記述するシステムが採用されました。

インターネット上にはさまざまな閲覧環境があります。特に、WWWが生まれた当時は、やっとWindows 3.0やMacintosh LCが発売されたころで、フォントの選択肢も少なく、モノクロの環境や256色しか表示できない環境も多かった時代です。文字しか表示できない環境のテキストブラウザなども考慮する必要がありました。

こうした環境下でも、もし、HTMLが論理構造ではなく、ワープロソフトのように「ここは24ピクセルのフォントで表示する」と指定して表示するものだったとしたら、24ピクセルのフォントデータが存在しない環境では適切に表示できなくなってしまいます。しかし、「ここは見出し」と論理構造が記述してあれば、閲覧環境のブラウザは利用できるフォントデータの中から、一番大きなものを使って表示することができます。大きなフォントがない場合には、太字にしたり、色を変えて表示することも可能です。このように、論理構造を記述することにより、ブラウザは閲覧環境に合わせて読みやすく表示することができたのです。

現在では、コンピュータの性能が高くなり、フルカラー環境や、多彩なフォントがインストールされた環境は当たり前のものとなっています。しかし、音声で読み上げてブラウジングを行う音声ブラウザや、テキストで情報収集を行う検索エンジンのクローラーなどの存在を忘れてはいけません。

音声ブラウザには、声色を変えて見出しであることを伝えたり、見出しのみを読み上げてブラウジングする機能が用意されており、論理構造の記述がとても重要なものとなっています。

また、検索エンジンでは論理構造の記述によって見出しなどを判別し、Webページの内容をより正確に取得して、検索結果に反映させます。

さらに、最近ではEvernoteの記事クリップ機能のように、Webページ内から自動的に記事の部分を抽出して保存するサービスも提供されるようになってきています。こうしたサービスも、本文の判別にはHTMLによる論理構造の記述を利用しており、今後も、様々なサービスで利用されるようになる可能性があります。そのため、HTMLによる論理構造の記述は、WWWが生まれた当時よりも重要になってきていると言えるでしょう。

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